今、助け合いの時
江東区助け合い活動連絡会
いつかは自分も誰かに助けてもらわないと生活できなくなる時がくる。助け合い社会とは、自分も人の役に立ち同時に人に助けてもらうこと。物質面で満たされるだけでは本当の豊かな社会とは言えない。むしろ精神面で満たされる日々こそ豊かな社会と言えるのだろう。 100%完全な人はいない。誰しも足りないものがあるものだ。ならば足りない部分は補い合う。一人でダメなら仲間を作って支え合おう。それが助け合い社会.ボランティア社会だ。
区内を見渡すと沢山の助け合い活動、ボランティア団体が活動している。皆さんはいくつご存知だろうか。そしてどこかに参加しているだろうか。
私はこれまでにいくつもの団体の活動を拝見し参加させてもらって来た。上は90歳代から小学生まで。多くは60代、70代が中心であるが、みな明る<元気で楽しそうだ。人の役に立つ喜びが伝わってくる。人の役に立つこと、仲間が出来ること、心と体が元気になる事、今や明日が楽しくなること。
助け合いが広がった社会は幸せ社会、安心社会だ。住民と行政が、そして皆がつながって助け合いのまちづくりを進めよう。
助け合い活動連絡会は、地域住民(町会・自治会)、NPO、ボランティアグループ、介護事業者、区、社会福祉協議会の事業と連携して、助け合い活動に関する情報交換と団体の交流(定例連絡会・年4回)、学習の機会(研究会・年3回)などを提供しています。お年寄りから子供まで〝困ったときはお互いさま〟でつながり、協働のまちづくりに取り組んでいます。気持ちがあればだれでも参加できる連絡会。今回は、代表の渡辺恵司さんにお聞きしました。
渡辺さんが〝助け合い活動連絡会〟を立ち上げられたきっかけをお聞かせください。
今まで障がい者・子育てのボランティアを行っていましたが、10年前くらい前に、さわやか財団の方からボランティアの養成研修の誘いが来て、高齢者支援をするようになりました。
なるほど。
そこで、改めて考えてみたら、様々な活動団体が顔を合わせながらつながることで、もっと地域は豊かになると思ったのよね。
なるほど。会の発足は2016年ですか?
江東区で高齢者のフォーラムをやろうと思い、5年前に第1回目を砂町文化センターで開いて大盛況だったの。これで終わらせるのはもったいないと思い、パネラーの人たちを中心に地域でどういう取り組みをしていくかを話し合う会を作りましょうよ、と呼び掛けて、2017年2月から亀戸文化センターを皮切りに、毎月場所を変えながら助け合いの会を開いたんです。これが連絡会の始めだね。
フォーラムがきっかけだったのですね?
ちょうど社会福祉協議会も区から高齢者の委託事業を受ける事になっていたから、タイミングが良かったんだよね。行政・社会福祉協議会と一緒に、亀戸文化センターを皮切りに毎月場所を変えながら助け合いの会を開いたんですよ。これが連絡会の始まりです。
連絡会では、町会、自治会、ボランティアなどの活動団体だけでなく、区・社会福祉協議会とも連携して、みんなでまちづくりを行っていますね。
社会って混然としているものなんだよね。子どももいれば高齢者もいる。生活が大変な人がいれば豊かな人がいる。それをどうやって地域でみんなが一歩でも住みよい地域にできるか?行政も含めて地域の住みやすさをみんなで考えていくことが大切だと思ったんです。それが人間関係の豊かさになって、地域の豊かさにつながると思ったんだよね。
50団体が参加
参加されている団体はいくつぐらいですか。
50団体ほどかなぁ。個人の参加も受け付けています。今は年4回の連絡会、テーマを決めた研究会、社協との協働主催のフォーラムなども開いています。こういう勉強会などを通じて幅広い情報交換と交流が続けば、まちづくりは進んでいくと思うんですよね。
さまざまな団体が、いろんなテーマで研究会を持ち、交流を重ねてお互い知り合いになる。これが、いわゆる“いろんな世代の人間関係”というところに行きつくのですね。
そうですね。繰り返しになるけど、人間関係の豊かさは大きな財産です。
今は定期的な集まりから発展して、別の取り組みもいくつかされているとうかがいましたが、具体的にはどんなこと取り組んでいるのですか?
人と人とのつながりから、それを一歩二歩進めるために、地域で助け合いの人材を育成する“社会貢献大學”の設立という発想も出て来たんです。
社会貢献大學?
子育て活動、高齢者の助け合い活動、それに外国からきた人達との交流、地域での課題は沢山あります。これらを行政に頼りきるのではなく、私たち住民も解決に向けて行動することが大切だと思い、各分野を学びながら実践できる形を創ろうと思っています。
高齢者・子育て・障がい者・まちづくりは何となくわかりますが、外国からきた人達との交流という学科を入れたのは?
今は江東区でも海外からの居住者が増えています。そんな状況で私が特に心配なのが子どもたちです。日本語がわからない状態を放置することは、その子どもたちの未来を破壊することになる。日本語学校の充実だけでなく、地域でもしっかり取り組んで共生しなければと考えています。
あぁ、確かにそうですね。こうやって聞くと、確かに地域での生活の視点では、縦割りでは区切れない支援が必要で、そこをサポートできるのは、地域の住民なのかもしれないですね。
後は、グランドゴルフも月に2回、西大島の小学校で開催しています。
グランドゴルフ?
このスポーツは、子どもからお年寄りまで、年齢問わず誰でもできるから、健康になるし、楽しいし、世代を超えて人と人がつながることができるのです。
いろいろな世代の方がつながりますね。
今は平日の午前中に行っていますが、できれば子ども達にも、お父さん、お母さんの世代にも入ってもらえるようにして、輪を拡げながら人間関係を育ていきたいと思っています。
人間関係は、ここでもキーワードですね。
最終的には住んでいる各町内会・自治会などもつながりでも助け合える関係をつくれたら良いと思うの。“社会貢献大學”をつくって、できるだけたくさんの人たちに『一緒に勉強しませんか?』と呼び掛けたい。そして、助け合いをすることで、自分自身の喜び、生きがいを感じてもらう、ということを伝えていきたいと思うのです。
応援する人たちが増えればそれも力になりますね。ところで…渡辺さんは、今年80歳になるとうかがいましたが、そのエネルギーは何なのでしょうか。
何だろう?自分でもよくわからないな。ただ、人が喜んでくれること、ありがとうって言われなくてもいいんだけど、そういう気持ちを持ってくれることに対する喜びかなぁ。
お互いが温かい気持ちになれることにエネルギーを感じているのかしら?
人に感謝をする。私は、その感謝の気持ちが大きい人ほど幸せになっていくと感じているんだよね。やってあげているではなくて、やる方は「させていただく」という。で、やってもらった方は「ありがとうございます」ということ。そういうもので成り立っている社会というのは、それは本当に住みよい社会なんだろうなと思うんだよね。
助け合い連絡会が今後どうなっていくのかということもですけど、やっぱり、渡辺さんの経験は重要だと思います。そこが決定的に違うなぁと、今日話を聴いて思いました。また、渡辺さんは、自分で自分を楽しくする方法をご存知ですよね、自分でスイッチの入れ方とかわかっていると思います。
スイッチの入れ方はわからないけれど、好奇心の塊、それはありそうだね。でも、理屈とか何かで動いているわけじゃないから。単純に「おたがいさま」の気持ちが嬉しいなぁ~ていう。
助け合い連絡会を通じて、少しでも「お互いさま」を広げたいですね。今日はありがとうございました。
編集部コメント
代表の渡辺さんは、中学卒業後に丁稚奉公に就き、夜学に通いながら若い時期を過ごし、54歳で大学入学、その間も仕事をしながら、カンボジア支援、子育て支援などのボランティア活動を続け、助け合い活動連絡会を立ち上げました。そのエネルギッシュな生き方に感動しました。“社会貢献大學”の創設に向けて、まだまだ頑張っていただきたいと思います。